身近な著作権侵害 CDを店舗のBGMに流す…無断はNG

店舗の雰囲気演出に一役買うBGMですが、自分で購入したCDとはいえ著作権者の許諾無く流す行為は著作権法に違反してしまいます。合法的に利用するには、一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)のサイトに掲載されている通り、著作権利用手続きを行い著作権使用料を支払う必要があります。
お店などでBGMをご利用の皆様へ(JASRAC)

意外に思われるのも無理のないところで、JASRACサイトに記載の様に2000年1月の著作権改正までは合法行為でした。しかも、この改正内容が周知されているとは言い難いでしょう。同じ著作権法改正でも2012年の違法ダウンロード刑罰化の方が話題となったので、こちらをご存じの方が多いのではないでしょうか。

それ以前に、「自分の購入したモノを自由に使えないなんて!」というのが一般消費者の感覚でしょう。この点、著作物は著作権者を権利を保護することで文化の発展を促進する必要があるため他の物品より制限が厳しく、著作権法で細かく定められています。
具体的には、著作物の使用には原則として著作権者の許諾を必要としており、著作権法第30条〜第47条の8の場合は例外として許諾を必要とせず使用できるというものです。この中でよく知られているのは、著作権法第30条の「私的使用のための複製」です。

CDをBGMとして流している店舗は、実態として相当数あると思われます。数多ある店舗を取り締まっていくことは現実的ではなく、事実上黙認に近い格好です。しかし違法行為であることには変わりなく、何かの拍子にSNSなどネット上で思わぬ“炎上”を招くリスクもあります。どうしてもCDを流したい場合は、正当な手続きを踏むのが無難といえます。JASRACへ支払う著作権使用料は店舗面積500m2まで年額6,000円(税抜)とのことですので、店舗演出のための必要経費と考えれば大きな負担ではないといえそうです。

一方、ラジオ放送やUSENの様な有線放送をBGMとして流すことは問題ありません。著作権者の許諾を得ることなく、著作権使用料を支払う必要もありません。これは、放送局側がこれらの手続きをしているためです。
一般的なラジオ放送は無料ですが、MUSIC BIRDや有線放送は有料ですので前述のCDを流す場合の著作権使用料よりは高くなってしまうかと思います。なお、インターネット配信やネットラジオなどは事情が異なるので、改めてまとめます。

ここからは法律論を外れた一ラジオリスナーとしての私見ですが、最近ラジオをBGMに流している店舗が減ったように思います。以前は中高年層が多い床屋などではAMラジオが、幅広い層が訪れる店舗ではFMラジオがBGMで流れているということが多かったように思います。
大都市圏でFMラジオ局の開局ラッシュがあったのはバブルの頃で、J-WAVEを筆頭に「アッパー層に向けた音楽中心のオシャレ・都会的・外国っぽい」放送が人気を呼び、店舗のBGMとしても使いやすかったのではないかと思います。しかし、バブル崩壊による広告収入減が影響し1990年代後半には各局で現実的な放送内容へのシフトやトーク比率の増加という変化が起こり、BGMとして使いづらくなった面があるかもしれません。また、(前述の通り現在は違法ですが)CDの普及・低価格化が進みBGMとして使いやすくなったことも影響したかもしれません。

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