環太平洋連携協定(TPP、米国を除く11カ国が署名)の締結に必要な関連法の改正が、6月29日に国会で可決、成立しました。
施行期日はTPPが日本において発効される日となっており、他国の手続きが順調に進めば2018年中に発効=施行の見通しです。
この中には、著作権法も含まれており、「著作物等の保護期間の延長」と「著作権等侵害罪の一部非親告罪化」が大きな改正内容となります。
保護期間の延長については、「映画以外も50年→70年」となります。
文学作品で見ると、2021年に三島由紀夫(1970年死去)、2022年に志賀直哉(1971年死去)、2023年に川端康成(1972年死去)、といった大型作家の作品を自由に使える様になるはずでした(パブリックドメイン)。青空文庫の無料公開が身近な利用例です。
しかしTPPが発効されると保護期間が70年となり、パブリックドメイン化するのは20年も先の事となりそうです。
「権利者の保護」と「自由な作品流通」、どちらにもメリット・デメリットが存在し、50年か70年かについては賛否両論が巻き起こりました。
そもそも、保護期間の延長は米国の主張で盛り込まれたものです。米国はトランプ政権後にTPPから離脱、保護期間の延長もTPPとしては凍結されました。
しかし、欧米では従来から70年が主流だったために、日本もこれに合わせるとして、凍結に関係なく改正されることとなりました。
保護期間の延長は、前述のような日本国内の問題のみならず、対外国という点で影響が大きいものといえます。
世界的に有力・有名な作品を多く持つ欧米側は、従来よりも使用料を得られる期間が長くなるという点で大きなメリットがあります。一方、日本側は、従来より余計に使用料を支払うことになってしまいます。