「ブログの更新が滞ってしまいました」
前回の更新が昨年10月、すっかり当ブログの更新が滞ってしまいました…。
「ブログの更新が滞ってしまいました」という文言はよく見かけますが、確かに無理もないと思います。私もWeb制作業界の端くれですので、ブログの更新頻度を高くすることによって、ドメインやWebサイトの価値・評価を上げてSEO効果があることは、痛いほどわかります。一方、仕事が忙しかったり、まとまった時間が取れなかったり、文章を書くのが億劫だったり、SNSで済ませてしまったり…という人が、私も含めて多いのが現実です。
言い訳がましくなってしまいました…。確かにSNS、特にTwitterは文字数も限られており、気軽に投稿できます。Facebookも投稿しやすいインターフェースです。しかし、どちらも投稿したとたん、すぐ世の中の数多ある情報に流されてしまいます。Twitterは過去の投稿を探すのが大変ですし、Facebookは多機能化でどんどんサイト自体が重くなり使いづらくなっています。
こういった点では、ブログは過去の投稿も比較的振り返りやすく、有用な情報データベースの構築として依然として優位にあります。つまり、使い分けです。SNS=流れても良いネタ、ブログ=残したいネタ、と切り分けるのが一番手っ取り早いと言えます。
そして、ブログにしろSNSにしろ何にせよ、いつでもどこでも原稿執筆が捗るかもしれない?のが今回の本題GPD Pocketなのです。
GPD Pocketを中古で購入
左から10.1インチ2in1(ただし少し古いモデルでこのクラスとしては少し大きめ)、GPD Pocket、5.5インチスマホ
前置きが長くなってしまいました。非常に遅ればせながら、GPD Pocketを購入しました。
GPD Pocketは2017年10月に発売された超小型モバイルPCで重量480g、ポケットにも入るPCとして話題になった製品です。サイズ感としては、一回りか二回り大きな電子辞書や3DS、といったところでしょうか。ここまで小さなPCは、直近の製品かつ日本で正規販売されているものでは、ほぼ類を見ないといっても良いでしょう。
発売から1年以上経過し、後継機GPD Pocket 2も発売され、新品、中古価格共に相場が下落している中、たまたま中古PCショップの店頭で見かけた状態の良い中古品(3万円台半ば)を衝動買いしました。
超小型モバイルPCの波乱万丈
Macbookを意識した?アルミ削り出しでシンプルなボディ、中国ベンチャーメーカーでこの高品質は驚き
このような超小型モバイルPC、古くは東芝「Libretto」がミニノートPCというジャンルを切り拓き、その後、数々の挑戦的な製品を出したソニー「VAIO」シリーズ、NECや富士通など小型化を得意とする日本メーカーがこぞって製品を発売したものでした。2000年台後半にはこの様なモバイルPCはUMPC(Ultra-Mobile PC)と呼ばれるようになり、派生的に安価で性能を割り切ったネットブックも登場しました。
しかし2010年代に入り、スマートフォンやタブレットといったスマートデバイスが台頭し、UMPCは下火に。Windowsタブレットが登場し、特に画面サイズ7,8インチ台はUMPCを上回るモバイル性を発揮したものの、Windowsは指タッチ操作に適さず、7,8インチだと小さく操作しにくい、さらに結局はキーボードとポインティングデバイスが必要になってくる(つまり、Bluetooth外付けキーボードやマウスも一緒に持ち歩かなければいけない=煩わしい、荷物が増える)ということで、これまた下火に。現在、Windowsタブレットの主戦場は10インチ以上のキーボード取り付け可能タイプ(2 in 1)に移行しています。
UMPCの下火とWindowsタブレットの大型化により2010年代中盤以降、超小型モバイルPCは“冬の時代”という最中、颯爽と登場したのがGPD Pocketでした。
GPD Pocketへの期待と不安
独特のキー配列と日本語配列ではないことを除けば、完成度は高く、UMPCの進化を感じる
UMPCブームから数年経っても後継機が発売されず、当時の端末を使い続けていた人も多かった訳ですが、さすがにスペックに限界がきていました。GPD Pocketは、画像・動画編集やゲームをしなければ実用的なスペックということで「ようやくUMPCの後継機が発売された」と歓迎されました。また、タッチ操作中心のスマートデバイスでは事足りずキーボードやポインティングデバイスを欲するユーザーの心も掴みました。
一方、GPD社は中国の新興メーカーであり、大手メーカーではないことへの不安もありました(ただ、GPD社は複数の日本企業と販売代理契約をしており、日本に正規販売店があるので、万が一の場合も比較的安心できる状況にあります)。また、キーボードが日本語配列ではなく英語配列であり、しかも独特な配列であることから、万人受けし難い面もありました。
トラックポイント無しとなったGPD Pocket 2
トラックポイントが無いため、2見送った人も多い…3は果たしてどうなるか?
そして、約1年後の2018年11月、後継となるGPD Pocket 2が発売されました。スペックが向上したとはいえ、トラックポイントが無くなってしまったことで発表当時から賛否両論でした。トラックポイントの優先度が高い人にとっては、相場が下がってきた初代GPD Pocketは今が買い時と言えそうです。
結局GPD Pocketはどうなのか?
テーブルが小さなカフェでも余裕。WindowsノートPCを持ち歩くことが特別でなくなることが最大のメリット
GPD Pocketのレビューは、ネット上に数多あるので、ご興味のある方はぜひ検索されてみてください。私の感想は以下です。
- 私の最大の目的はキーボード。外出先でもメール送信・返信などある程度の文章を効率的に入力したい、でも外付けキーボードは持ち歩きたくない、というのが主目的。モバイルPCの小さめなキーボードに慣れていれば、言われているほど打ちにくくはない(もちろん個人差あり)。
- ただし、結構しっかりとキーを押し込む必要があることや、独特のキー配列もあり、入力ミスはそこそこ発生してしまう。
- トラックポイントはあるに越したことはないが、指タッチ操作も併用できるので、好みや状況に応じて使い分けできる。
- 画面は7インチなので小さいが、込み入った作業ではなくメール送信・返信や、Wordなどでちょっと文書を作成する程度なら、それなりに使える。
- 10インチ2 in 1より遥かにフットプリントが小さい。カバンからサッと取り出せる。電車の中やテーブルの小さな飲食店でも余裕で使え、目立たない。
- とにかく軽い。PCを持ち歩くことが特別ではなくなる。
- 給電・充電がUSB Type-Cなので汎用性が高く、スマートデバイスと共通のケーブルが使える。バッテリー持ちも結構よく、輝度を抑えれば5時間以上は持ちそう(輝度0%でも実用レベル)。
- ファン音が結構する(後継機GPD Pocket 2では改善されているらしい)。電源OFFの充電中にファンが回ることもある。
- SIMが挿せるとよい(LTEなど通信機能搭載)と考えていたが、通信機能搭載デバイスはコスト高なので発売を待っていてもいつ出るかわからない。最近のスマートフォンはテザリング時でも電池消費量が控えられてきており、テザリングでも問題なくなってきている(ただし携帯通信時にWindows Updateされないよう設定が必要)。
なお、GPD Pocketは買ったらすぐ使える大手メーカー製パソコンとは異なります。キー配列はChange Keyで幾つか変更しました。また、Wi-Fiが繋がれず、ネットで調べパッチを適用しました(私の購入した中古品はデフォルトのWindows 10 Homeではなく、前の所有者がアップグレードしたようでWindows 10 Proだったという嬉しい誤算もありました。もしかしたらその為かもしれませんが)。トラックポイントは標準のものはやや使いづらく、ThinkPad ロープロファイルに変えました。
現時点で最強の超小型モバイルPCだが、ロマン枠?
ガッツリ作業をしようとなるとGPD Pocketは効率が悪いのは否めない…サイズと操作性のトレードオフが悩ましい
細かな不満はあるにせよ、「GPD Pocket」シリーズは現時点で最強の超小型モバイルPCです(日本で正規購入・利用できるという点で…競合製品は技適なし・サポート難易度高し)。昨年投稿した弊ブログ「どうする?モバイル」へのアンサー投稿でもあります。「1gでも軽くWindowsを持ち歩きたい」「キーボードとポインティングデバイスが必要」「操作性より小さいことを優先」という方や、モバイルガジェットマニアの方に是非オススメします。
と言いながら、結局のところ大きさが最大のトレードオフとなってしまい、作業効率は落ちてしまいます。私はその日の用途に応じてモバイルPCを使い分けており、外でのPC作業が少ない日はGPD Pocket、外でガッツリPCを使う日は10.1インチ2 in 1というのが実情です。
GPD Pocketは、UMPCの再来を感じさせますが、どうしても「手のひらに乗る、ポケットに入るパソコン」という“ロマン枠”の様相は否めません。万人受けしにくい特異なガジェット、という位置づけになってしまい、ニッチ市場にならざるを得ないところにUMPC市場の厳しさを感じます(=大手PCメーカーが参入しない、かつて参入していた日本PCメーカーにニッチ挑戦の余裕がない)。でも今こそ、日本メーカーにUMPCを作ってもらいたいですね…