持続化給付金 2019年設立したばかりの会社でまだ一期目の場合は創業特例?

持続化給付金は簡単ではない?

新型コロナウイルス対策の支援政策の中でも、事業者(法人、個人事業主)が最も活用できる制度が持続化給付金です。

しかし、公式サイトの説明が不十分・難解だったり、オンライン申請の入力システムが分かりにくかったりといったことで、混乱を招いているところもあります。一見簡単なようで「場合によっては簡単ではない」「意外と奥深い」という印象を受けます。

先日、弊事務所に
2019年設立しまだ1期目が終わっていない(決算期や申告時期を迎えていない)場合、確定申告書類は当然ないが、どうすればよいのか?
というご相談をいただきました。この点、公式サイトの「創業特例」には明確な説明がなかったため、弊事務所がコールセンターへ問い合わせた結果を共有します(同じ状況でお困りの方は念の為、ご自身でもお問い合わせください)。

以下は「法人」の場合の説明となります。

創業特例とは

創業特例『持続化給付金申請要領』より抜粋

2019年に設立した会社は、上記のような特例があります。通常の申請では「2020年売上が50%以上ダウンした月」と「前期の比較する月」は同月である必要がありますが、2019年設立の会社は「2020年売上が50%以上ダウンした月」との比較に「2019年の総収入÷設立後の月数」を用いることができます。

これが有利に働くか不利に働くかは状況によりけりですが、例えば2019年後半に設立したため2019年中の売上が多くない、という場合は微妙かもしれません。

問題は上記の「証拠書類等」です。2019年設立の会社はまだ1期目が終わっていない会社が多いと思います。①確定申告書類は当然ながら無いわけで???

別の特例も見る必要がある

直前の事業年度の確定申告が完了していない場合『持続化給付金申請要領』より抜粋

申請要領によると特例は「A:証拠書類等に関する特例」と「B:給付額に関する特例」の2種類があり、「創業特例」は「B:給付額に関する特例」の1つです。どうしてもここだけ見てしまいがちですが、「A:証拠書類等に関する特例」に「直前の事業年度の確定申告が完了していない場合」というのがあり、これも併せて見る必要があったのです。

「証拠書類等」に①税理士の署名押印済の前事業年度の事業収入証明書類とあり、まだ1期目が終わっていない会社は、確定申告書類の代わりにこれを提出することとなります。

しかし、この2つの説明が全くリンクしていないため、制度を相当深く理解していない限りは分からないでしょう。不親切と言わざるを得ません。

設立したばかりの会社は平時でもまだ売上があまりなく大変なことが多い訳ですが、コロナ禍でさらにつらい状況の中で税理士に書類作成を依頼しないと行けない(=税理士へ報酬を支払う必要がある、余計な時間がかかる)というのは、酷なことではないでしょうか。

電子政府に向けて

持続化給付金の業務は国から「とある民間団体」に委託されています。この団体は、既にIT導入補助金など国の補助金事業で実績があります。本来このような業務は慣れているはずですが…準備期間が短かったとはいえ粗が目立ちます。

オンライン申請の入力フォームでも、例えば「生年月日」は半角スラッシュで区切らないとエラーになるなど、ユーザビリティという点で首を傾げるような仕様となっています。

また、オンライン申請は複数の入力画面を遷移して進めますが、必須項目を入力しないと先の画面へ進めないため、全体像がつかみにくいです。もっとも、このお蔭で1つの画面で入力を終えて次へ進むと、これまでの入力内容が保存される仕様とはなっていますが、その旨の説明がないようです。
申請の入力作業にどれくらい時間が掛かるのか、入力内容の保存機能があるのかないのかは、利用者にとっては大きな関心事でしょう。

この持続化給付金は、恐らく過去最多の人が利用する行政のオンライン申請になると思います。今後進展するであろう電子政府に向けての試金石とも言っても過言ではなく、今回の課題を生かしてほしいものです。

FAQ

Q:もうすぐ決算を迎えるが待ったほうが良いのか?
A:「税理士の署名押印済の前事業年度の事業収入証明書類」を税理士へ依頼すると報酬を支払う必要が出てしまいますので、お急ぎでない場合は税申告を終えて書類が手元にある状態までお待ちいただくのも一考です。

Q:申請は急いだほうが良いのか?
A:来年1月15日まで受付けています。

Q:設立後まもないため、昨年の売上が少ない
A:残念ながら持続化給付金は使えない可能性がありますが、以下の他制度もご検討ください。特に最初の2項目の創業関係の融資は、設立後まもない期間ほど借りやすいのでご検討ください。

【持続化給付金以外に活用できる制度】
・日本政策金融公庫の創業時融資制度
https://www.jfc.go.jp/n/finance/sougyou/riyou/sougyouji/
・市区町村の創業支援融資
「所在する市区町村名 創業支援融資」で検索されてみてください
・経産省の資金繰り支援制度紹介
https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/shikinguri_list.pdf
・ものづくり補助金、小規模事業者持続化補助金、IT導入補助金
https://seisansei.smrj.go.jp/
・様々な支援制度のわかりやすいまとめ
https://kurashi.yahoo.co.jp/supports/covid19/
・その他、各都道府県、各市区町村ごとに独自の支援制度を行っている場合があります。
例:東京都の支援情報ナビ https://covid19.supportnavi.metro.tokyo.lg.jp/
・お取引銀行やお近くの商工会議所にもご相談されてみてください。
全国の商工会議所 https://www5.cin.or.jp/ccilist

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