2020年10月に新たな建設業法が施行されます。四半世紀(25年)ぶりと言われる大きな改正となります。
中小建設事業者の建設業許可申請という観点からは、「経営業務の管理責任者(経管)の要件変更」「社会保険加入の必須化」が主な変更点となります。
特に前者の経管については、改正が話題になった当初「廃止」のようなことも言われていましたが、結果的には少し要件が緩和された程度に留まりました。むしろ、経管のパターンが増えて複雑化した印象です。
なお、申請様式も変更されており、以前の様式のファイルは使えなくなりますので注意が必要です。
経営業務の管理責任者(経管)の要件変更→経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するもの
経管は、従来の個人の経験に拠るものに加えて、一定の組織体制を構築することでも認められることとなりました。
常勤の役員等のうち一人が、以下1,2のどちらかに該当する必要があります。
1.個人の経験に拠るもの
以下a,b,cのいずれかに該当することが必要です。
- 役員として5年以上の経管の経験を有する常勤の役員等
- 準ずる地位として5年以上の経管の経験を有する常勤の役員等
- 準ずる地位として6年以上の経管を補助する業務経験を有する常勤の役員等
aは従来のオーソドックスな経管に該当するものです。建設業種問わず5年以上となり、条件が少し緩和されたことになります(従来は「許可を受けようとする建設業種では5年以上の経験」「それ以外の建設業種では6年以上の経験」)。
b,cの「準ずる地位」は許可行政庁によってはなかなか認められにくく、疎明資料も多く求められていました。今回の法改正の趣旨を考えると、少し変わっていくのかもしれません。
2.一定の組織体制に拠るもの
以下a,bのいずれかに該当することが必要です。
- 建設業の役員等の経験が2年以上あり、かつ建設業の役員等または建設業の役員等に次ぐ職制上の地位における財務管理、労務管理、業務管理の経験を3年以上有する常勤の役員等+常勤の補佐者
- 建設業の役員等の経験が2年以上あり、かつ建設業以外の役員等の経験を3年以上有する常勤の役員等+常勤の補佐者
5年以上の経管の経験には数年足りない、という場合は、こちらに当てはまるか否か検討することになります。特にbは建設業以外での役員経験もOKという大きな要件緩和です。
上記のa,bどちらも、もう1人以上「補佐者」という立場の人が必要になります。
「補佐者」とは?
申請会社において、建設業の財務管理、労務管理、業務管理の業務経験をそれぞれ5年以上有し、役員等を直接補佐する者(役員等の直属の者)をいいます。
3つの業務経験があれば同一人でも可能です。つまり、補佐者は最小1人、最大3人となります。
以上、込み入っており分かりにくいのですが、まとめると以下の表の様な建付けとなります。
1,2のどちらか | a,b,c/a,bのいずれか |
---|---|
1.個人の経験に拠るもの | a.役員として5年以上の経管の経験を有する常勤の役員等 |
b.準ずる地位として5年以上の経管の経験を有する常勤の役員等 | |
c.準ずる地位として6年以上の経管を補助する業務経験を有する常勤の役員等 | |
2.一定の組織体制に拠るもの | a.建設業の役員等の経験が2年以上あり、かつ建設業の役員等または建設業の役員等に次ぐ職制上の地位における財務管理、労務管理、業務管理の経験を3年以上有する常勤の役員等+常勤の補佐者 |
b.建設業の役員等の経験が2年以上あり、かつ建設業以外の役員等の経験を3年以上有する常勤の役員等+常勤の補佐者 |
社会保険加入の必須化
「適切な社会保険に加入していること」が許可要件となりました。
社会保険の加入義務は複雑なところもありますが、例えば役員以外に労働者を雇用している会社は、健康保険、厚生年金保険、雇用保険の加入義務があります。
詳細は 国土交通省:建設業における社会保険加入対策について をご参照ください。
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